胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
俺はテーブルの下で手をつないで微笑み合った。
「でも、嘘ついて行きたくないし…許してくれるかなぁ。」
俺は、挨拶に行った時から嘘ついてどこかへ行くのは止めようって決めてた。
俺を歓迎してくれたゆかりの両親を裏切りたくなかった。
「今日、話してみる。だめだったら、また考えよう。」
俺とゆかりは二人で一つのチョコパフェを注文した。
平和な時間…
「美亜じゃん!久しぶり!」
どこかで聞いたことがある声だ…と認識する前に、声の主を見た。
「やだー!久しぶり。相変わらずお水で働いてんだね。」
美亜ちゃんは、手を振りながら席を立った。
「美亜、彼氏?」
隆介に向けられた視線が、次は俺に来る。
俺は、わざとらしく窓の外に体を向けた。
…頼む。
…俺に気付くな…
「あれ?卓弥君じゃない?」
あっさりと俺に気付いたのは…
奈津姫が働いてたキャバクラで、何度か俺に付いてくれた女、愛柚…だった。
水商売の女性は、人の顔と名前を覚えるのが本当に得意だ。
どうごまかそうか、どう返事をしようか…
悩む間もなく、美亜ちゃんが愛柚の腕を掴み、俺との関係を聞き出そうとしていた。
暗黙のルールで、客の個人的な情報や、客について多くを語ってはいけない。
「あ…友達の友達で…」
愛柚は、ゆかりの存在に気付き咄嗟にごまかしたが…誰も信じてはいなかった。
「久しぶりだな。…俺が昔通ってた飲み屋で知り合ったんだ。」
ゆかりには、キャバクラに行ってたことも話してるし、ここは正直に話そう。
「あ…うん。久しぶり。あれから全く来なくなってみんな寂しがってるよ。」
愛柚は、俺の態度で隣にいるゆかりを彼女じゃないと思ったのか、安心して俺に話し出した。
「卓弥君、例のアレ…いつか実現させようね。じゃあ、美亜またね!!」
真っ黒なミニのワンピースに、真っ赤なスカーフ…
俺に手を振り、去って行った。
凍り付く空気に、美亜が救いの手を差し延べる。
「ケーキ、食べよっか。」