胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
【卓弥】助っ人
【卓弥】



指定された店の前で、空を見上げながら待った。



川沿いにあるそのイタリアンレストランは、平日は近所のマダム達が集う憩いの場。



春には、桜がとても綺麗に見える。




一度だけゆかりと来たことがあった。



サラダとパスタとドリンクで1000円という安さにも、店内の雰囲気にも惹かれた。




……助かった。


今日一日、携帯を握り締めたまま何もできないでいる所だった。



自分を責めて、

自分の情けなさに涙が出た。



持つべき者は友。

持つべき者は…先生。



赤い車は、スムーズに駐車される。


いつ見ても、先生の運転姿は様になる。

日曜の先生は少しヒゲが伸びている。

ストライプのシャツにGパン。



何、俺…先生ばっか見てんだぁ。



わざとゆかりから視線を外してた。




タタタタタ…


近寄ってくてくれてホッとしたんだ。


「たっくん、今日は先生のおごりだって!いっぱい食べようね。」


「お…おう。あ、先生お久しぶりです。」


頭を下げた俺の頭に重力がかかる。

先生の手が乗せられた俺の頭は、なぜだか少し喜んでいた。


「問題児たっくん、やっと姿を現したか。俺がどれだけお前を探したかわかってんのかぁ?そのせいで、直とのエッチが10回は減ったんだからなぁ!!」


先生は、子供のような顔で笑う。

その横で直もキャッキャッ言いながら笑う。




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