胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
「まだ…開いてないっすか?」
どこかで聞いた声が…
「隆介君??どしたの?」
のれんに片手をかけたまま、キョトンとした顔で店を覗いていたのは隆介。
そして…
その隆介の後ろから、ひょっこり顔を出したのは美亜だった。
「なんでぇ?」
「こいつが、焼き鳥食いたいって言うから!」
隆介が親指で美亜を指す。
「言ってないしぃ。隆介が焼き鳥がいいって言ったんじゃん!」
美亜の声も無視して隆介が席についた。
…なぜに・・・
カウンター?
カウンターの真ん中に座った隆介と美亜は、どこから見てもカップルで・・・
だけど、最初のデートでどうしてここなの?
その理由は、少し遅れて店に入ってきたたっくんが教えてくれた。
「隆介、2人きり照れるからまだ無理なんだよ。ああ見えて・・・女苦手らしい。」
何気に話しかけてきたたっくんだけど、私は涙が出そうになった。
1ヶ月以上ぶり・・・だよね。
こうして、この店でたっくんと同じ時間を過ごせるのは。
「あとで・・・トイレな!」
こっそり私のお尻に触れたたっくんの手は、すぐにカクテルグラスへと移動する。
たっくんは、隆介と美亜に特製カクテルを作り始めた。
「あぁ!ゆかり先輩、見とれてる~!いいなぁ。私も庸介と付き合いたい・・・」
「付き合うまでに、庸介のことしっかりチェックしときなよ!ちゃんとさくらを幸せにしてくれる男かどうか・・・」
メロンを切り終えて、カウンターの冷蔵庫へ入れに行くと、すっかり打ち解けた様子の2人が見えた。
美亜は私の登場にも気付かず、隆介の顔をじっと見てた。
「あいつら、付き合うんじゃねぇ?」
たっくんが私の耳元で囁く。
「美亜ちゃんなら、隆介の傷を癒せるかもな・・・」
意味深にそう言ったたっくんは、保護者のように2人を眺めてた。
・・・傷?
隆介にも傷があるの?
美亜にもあるんだよ、深い傷が・・・
傷を持った者同士、傷を癒しあえる関係になれればいいのに・・・