胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~


お気に入りのカフェで、800円のランチセットを注文した。


このお店は、全席禁煙でなんだかいい香りがするから、私達の短大でも人気のあるお店。



「……で??どうなったの?」


待ちきれずに口を開いた私。

美亜は意味深な笑みを浮かべたまま、運ばれたリゾットに手を伸ばす。


ブロッコリーとエビとキノコが入ったそのリゾットは今週からの新メニューらしく…きっとこの店のほとんどのお客さんが注文していた。


チーズのいい香りを嗅ぎながら、あつあつのリゾットを口へ運ぶ。




「運命かも。隆介、私と同じ経験してた…」


美亜は真剣な表情になり、リゾットをフ~フ~って冷ましながら話す。



「すごくない?隆介…高校の時、彼女が親友と浮気したんだって…」


隆介の謎だった部分が少し解明されたような気がした。

あの意味不明なSっぽさや、突然無口になる所や…美亜に対するわがままなとこも。


傷ついてるって言うサインだったのかな。


どこまで美亜が自分に付いてくるのか試していたのかなって思った。



わけわかんない隆介を美亜はどんどん好きになり、隆介も心を開いたんだ。



あの後、結局『好きって言えよ』と言われて、美亜は『やだ!!そっちが言って!』と言い、どちらも言わないまま店を出たらしい。



実は、まだ好きだと言ってないんだって。


だけど、きっと美亜も気付いてる。



隆介も美亜を求めてること。


隆介を救えるのは美亜だってこと。




女の子の傷もなかなか癒えないけど、男の子はもっと癒えないような気がする。


友達に相談したり、泣いたりできない分…心の奥の方でどんどん硬くなって…どんどん溶けにくくなるような…



ゆっくり時間をかけて…

美亜がその氷を溶かしてあげて…
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