胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
「たっくんは、正直に話してくれた。だから、私も話したい。」
しばらくの沈黙の後、ゆかりが少し震えた声で言った。
手を握りたいと思う気持ちと、怖くてここから逃げたい気持ちがケンカしてた。
「教習所の先生に、告白された。」
忘れもしないあの男の顔と天パな髪。
俺は、落ち着け落ち着け…って自分に語りかけ、ゆかりの目を見た。
そこに涙はなかった。
真っ直ぐに、目の前のブランコを見つめてた。
揺れるブランコを見つめているその目の先に、あの男の姿が見える。
タバコの煙を空に向かって細く高く吐いた。
すぐに風で煙が見えなくなった。
「ゆかりが好き… 俺は、ガキだけど…それしか言えないけど…」
消えた煙に向かって話す。
「…キスされた。 一方的にされたけど、嫌だって言えなかった。ごめんなさい。」
俺は、黙って立ち上がった。
どうして、もっとゆかりの心の奥を見ようとしなかったのか。
どうして、ちゃんと最後まで聞けなかったのか。
わざわざ俺にその話をしに来たゆかりは、
俺とこれから向き合う為に正直に告白してくれたのかもしれない。
俺、かっこ悪い。
俺は、自分のしてきた事を棚に上げ、ゆかりを許すことが出来なかった。
ゆかりは、あんなバカな俺の話をちゃんと聞いてくれて
受け入れてくれたのに…
どうして素直になれないんだろう。
どうして、俺は嫉妬してるって言えなかったんだろう。
そいつを殴りに行きたいくらい愛があるのに、どうして…
その場を離れたんだろう。