胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
「ゆかりぃ、たっくんも野間さん殴ったりしないかな?」
直は顔を先生に向けたまま、目だけを私に向ける。
「え〜?まさか……もう、呆れてるかも知れない。たっくんは、優しいから殴ったりできないと思う。」
「……甘いな。お前は。アイツが優しいのは、中田を愛してるから。その愛する相手を奪われるかも知れないって時に、冷静でいられる男は、いないと思う。」
見えてる部分だけが
その人じゃないんだ。
内面に隠れた部分。
私には見せない部分もあって、それを含めてたっくんなんだ。
そう言われて見ると…………
私が襲われた時、たっくんの目が別人みたいだった。
獣みたいな鋭い目で、たくさんの男の人を殴ってた。
そうか…
大事なものを奪われる、傷つけられる、って言う恐怖が… たっくんを変えるんだ。
普段はあんなに爽やかなたっくんを………
「先生、今日教習所来る?」
「ん?行こうか?」
「先生来て。私心配だから…ゆかりとたっくんが…今日たっくん来るかも知れないよ。」
先生は、任せろって優しく笑ってくれた。
教官室からの景色が懐かし過ぎて、なかなかこの場所を離れることができなかった。