胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
「コレ、かわいい~!」
「こっちもいいね~!!」
人気の時計が並ぶ棚で大はしゃぎする私達は目的も忘れて自分の時計を探してた。
「ねぇ、たっくんとお揃いにしたら?」
美亜がニヤリと笑って私の腕に腕を絡ませた。
「え…そうかなぁ?喜んでくれるかなぁ?」
正直、受け取ってもらえるかもわからない状態だったけど、私はお揃いの腕時計を買いたいって思ってしまった。
「ねぇ、真似していい?…隆介とお揃いの…買っちゃおうかな!」
美亜は、白のお洒落な腕時計を嬉しそうに眺めてた。
「やだぁ、もぉ!こんなところで、やめてよぉ・・」
真剣に腕時計を選ぶ私達の耳に、不快な甘い声が…
ふと横を見ると、べったりと体を寄せ合うカップルが時計を選んでいた。
…時計を選んでるのか、ただイチャイチャしてるだけなのか、わかんないけど。
甘ったるい声でベタベタしながら、お揃いの時計を探してた。
さっきまで私が触っていた黒の時計に興味を持ち始めたそのカップル。
美亜は明らかに嫌がる素振りをしながら、早くどこかへ行って欲しいねって耳打ちした。
「コレ、似合うんじゃない?鈴子!」
カップルの男の声に、私と美亜は一瞬動きを止めた。
…いやいや…
鈴子って名前の人くらいそりゃいるよね。
まさか…ね。
鈴子には、こんなキャピキャピ系のイメージはない。
深く深呼吸をして、美亜は私の腕を引っ張りながら言う。
「一瞬びびったよね…まさかって。」
「うん…ありそうでない名前だもんね…」
ただの偶然だって思いながらも、私も美亜もそのカップルの会話に耳を澄まさずにはいられなかった。