胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
ぐぅ…
くそぉ。
俺のバカ。
パンでも持ってくれば…
せめて、俺に携帯があれば…
すぐ隣の校舎にいるかもしれない先生に食べ物を運んでもらえるのにな。
雲ひとつない空を見上げながら、
口笛を吹いた。
よく響く…
「卓弥君!!」
ん??
夢心地に口笛を吹く俺の耳に誰かの声。
そこには
天使のような微笑み…
「あ!よるさん!!!早いですね!」
犬を2匹連れたよるさんが元気良く俺に駆けて来た。
本当に天使に見えた。
「コレ!!食べな!さっき通ったら、卓弥君が寝てるの見えたから…!一晩ここにいたんでしょ?美味しいパンだから食べなさいよ!」
引っ張る犬の力に負けそうな細い腕で、俺にパンをくれた。
涙が出そうになった。
もちろん
パンも嬉しかったけど
よるさんの『優しさ』
何も聞かないで、
俺を気遣ってくれる優しさ。
仕事柄、目を見ればわかるのかな…
俺の寂しさや
孤独…不安を。
わざと明るい声と笑顔で
手を振って、犬の引っ張る方向へと去っていく。
「ありがと~!!一生、忘れないから!」
「頑張んなよ!負けるな!卓弥ぁ~~~!!」
静かな朝の草原に響く優しく美しい声。
俺は 心が透き通るような感動を覚えた。