胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
温泉宿にはお泊り専用の宿と、休憩用の畳の大広間があった。
先生は、キョロキョロと見回しながら中に入り、入り口にいた若女将に尋ねた。
「あの…どうしても星の下で温泉に入りたいんですけどぉ…それまでの時間ここにいてもいいっすかねぇ?」
受付の台に右ひじを置いて、ちょっと顔傾けながら…
ちょっと!!
口説いてるように見えるって!!
「どうぞどうぞ…そう仰るお客様も多いんで、この場所は休憩に使ってもらってるんですよ…」
女将さんは、私達に座布団とお茶を持ってきてくれた。
「先生、やばいって。きっと先生に惚れちゃったよ!」
たっくんがふざけて先生のお尻を叩いた。
直は…ぷ~っと少しふくれて先生を睨む。
「おい!直~!怒ってんのかぁ?直ぉ~!」
先生は直の持っていた座布団を取り上げて畳の上に置いてから、直を後ろから抱きしめた。
私とたっくん…
思わず目をそらす。
だけど、気になって
チラ…
さっきまで怒ってたはずの直はフニャフニャ~って顔で笑ってた。
先生の魔法だ…
先生は、マジシャン…
運転に疲れたせいか、先生は直の膝枕で3分もしないうちに眠った。
直は先生の寝顔を
じっと…見つめて…
携帯を取り出して…
「先生に内緒にしてねぇ!」
バシャ!!
写真を撮る。
嬉しそうに見せてくれたその写真は
近すぎて誰だかわかんない寝顔だった。
それでも
直は嬉しそうにそれを待受画面に設定。