胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~

「直、あれからどう?」

先生は饅頭を口に入れながら、自然に直の手を握る。


「うん…まだ言えないの。」


直は下を向きため息をついた。




何の話か、だいたい想像がつく。


今この2人には他に何も問題がないから。



直のパン屋のバイトの後輩、モミジちゃんのこと。


先生を好きな彼女に、真実を伝える勇気が出ない。



「やっぱ、俺が言おうか?」


「ダメダメ。先生から聞くなんて、かわいそう過ぎるよ。」


直は首を横に何度も振った。



直はわかるんだ。


モミジちゃんの気持ちが、痛いほどよくわかるんだ。



自分も先生に恋する一人の生徒だったから…



「結衣に頼むしかねぇな。うまいことお願いして話してもらうか。」


結衣って…呼び捨て?

バイトの先輩の結衣さんは唯一、直が先生を好きだってことを知ってる。


付き合ってることは知らないけど。



先生がもし、結衣さんにお願いしに行ったとしたら…

きっと結衣さんも先生を好きになっちゃうんじゃないか…って思う。


それくらいさっきの『結衣』って呼び捨ては…胸キュン。




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