そばにいたい
かすかに揺れるタクシーの中。


じくじくと痛む胸を押さえながら、唇を噛む。


今日も言わなかった。


えらいぞ、自分。


一生懸命自分をほめて、胸の痛みをやり過ごそうとする。


一ヶ月に一度、訪れるこの痛み。


けれど、何度訪れても慣れることはない。


ぐにゃりとゆがんだ自分のひざ。


頬を伝う冷たさで、自分が泣いていることを知った。


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