★花よりスイーツ☆スイーツよりあなた★
「鈴…、お兄ちゃん…。」
「えみッ……、えみぃ…。(泣)」
そっと声をかけると、鈴はやっと私に気づいて、力が抜けたのか、泣きそうになりながら、私に抱きついてきた。
抱きしめた鈴の肩が少し、震えていた。
怖かったんだよね。
私もあんな早紀さん初めて見て、怖かったもん。
鈴の頭をなでなでしながら、後ろで頭を抱えてるお兄ちゃんを見た。
お兄ちゃんも複雑なのかな。
彼女と、今まで可愛がってた妹みたいな鈴が自分の事で、険悪になってるんだもんね。
全く、モテる男はツラいねぇ~。
ん?……私、何か…
あ!!!
私はハッとなって、顔をそらせると…
車から降りて、ドアに寄りかかりながら私と鈴を見ている高原さんが!!
ヤバい!!
さっきの修羅場で高原さんの存在を一瞬忘れてた!!
慌てて、何か言おうとした私…でも…
『シ~。』
とっさに人差し指を自分の口元において、私の言葉を制した高原さん。
そっと微笑んで、声を出さずに口だけを動かして…
『そのままで…。またね。』
そう言われたと思った私は、コクコクと首だけ動かすと、高原さんは安心したように優しく笑い、車に乗って帰って行った。
私はそれを、鈴を抱きしめたまま…見つめていた。