★花よりスイーツ☆スイーツよりあなた★
「気にすることないよ、えみ。」
「え・・・。」
しばらくして、鈴は静かにそう言って少し笑った。
「先輩の事はもう終わったこと。忘れなきゃ。」
「…うん。」
「えみは…今、先輩より好きになれる人いるよね?」
「うん。」
あの頃のつらかった思い出を、
それでも忘れられなかった先輩の事も、
私は高原さんに出会って、恋をして、
乗り越えられると思った。
だって、高原さんといると…
つらかった過去を振り返ってる隙がないくらいに、楽しくて、嬉しくて、ドキドキしてたから。
それなのに、
たった数分、滝沢先輩に会って、話を交わして…
思い出してしまったんだ。
でも、これじゃあダメなんだよね…。
いつまでも、傷ついたまんまで、引きずってちゃ…
前に進めないんだ。
どこかで区切りをつけて、終わりにしなきゃ…
私らしい私で、高原さんと向き合えない。
やっぱりどこかで、傷つきたくない自分がいて、真っ正面からぶつかれないんだ。