★花よりスイーツ☆スイーツよりあなた★



「どうしたの?えみ。」


「えっ?ううん、なんでもないよ。」


「そぅ?あのね、聞いて②♪……」



なんだかソワソワし出した私に、鈴が不思議そうに聞いてきたけどごまかした。



鈴はすぐにお店を出ようって言いそうだから。



今日は高原さんの新作を一番に食べにきたんだから。帰るわけにいかない。



それから鈴がお兄ちゃんにデートに誘われたって話をしたので、少し晴香チャンから気を逸らすことができた。



「はい、2人ともお待たせしました!」


「やった、待ってました!」



高原さんがトレイを持って、やってきて私達は一気にテンションが上がった。



そして、私達の前に置かれたスイーツ…



それは、小さなドーム型をした赤や黄色、茶色…まさに秋の紅葉といった色どりのケーキ。



その周りを、沢山の旬のフルーツが可愛く囲んでいた。



もう、褒めるしかできないスイーツ。



「可愛い!なにこれ、美味しそう!」



見た目に感激して、はしゃぐ鈴。



「すごい。」



想像以上の新作に、私は言葉が出ない。



そんな私達を見て…高原さんは、ちょっとテレた笑顔で“恥ずかしいな。”と呟いていた。



そんなテレ顔の高原さんにキュンとして、また私は言葉がでない。



「ほら、えみ食べなよ、一番に!」


「う、うん…、いただきます。」


「どうぞ。」



ドキドキしながら、その手をつけるのももったいないと思うケーキに、フォークをそっと入れる。



わぁ…柔らかい!



ドームの中は、真っ白のムースだった。



ここまででも、とろけてしまいそう。



食べたら私どうなっちゃうの?



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