★花よりスイーツ☆スイーツよりあなた★



晴香チャンは、高原さんが厨房へ入っていったのと同時に、私に聞こえるくらいの声で話を始めた。



「お兄ちゃん、面白い話教えてあげる。」


晴香チャンは、一緒にいた男の人にそう言った。



ふと、その人物に視線を移す。



え、うそ。



…そんな偶然ってあり?



「面白い話?なになに?」



そう言って、イスに反り返るように座る、金髪の大学生くらいの人。



ちょっと、大人っぽくなってるけど…



間違いない。
あの人…滝沢先輩の友達。



「高校の2年生の先輩なんだけどね、めっちゃデブで~、笑っちゃうくらいブスなんだよね~。」


「まじで?どんなヤツだよ!」



私のことだ。



晴香チャンは話をやめない。



「でさ~、信じられないことにさ!そのデブ、恋しちゃってんのよ?」


「はははっ、狙われてるヤツかわいそ~。」


2人はケラケラと笑った。



私の真剣な恋を。



腹が立ったのと、ここまで自分のすべてを否定されて、涙が出そうになった。



でも、それを必死に我慢する。



ここで泣いたら、悔しすぎる。




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