★花よりスイーツ☆スイーツよりあなた★



「佑月に謝りもできずに、卒業してしまったこと…今でも、後悔してんだ。」



先輩は俯いたまま、静かにそう言った。



街灯の光で、先輩の表情はどこか寂しく感じた。



それから、先輩はあのバレンタインデーの日のことを…隠さず、話してくれた。



バレンタインの日…私が昼休み、渡したいものがあるからと言った時、“部室でな”と約束したのは、先輩の本心だった。



渡したいものがどんな意味で、どんなものかも…ちょっとは気づいていたんだって。


バレンタインデーだから、わかっちゃうよね、やっぱり。



私が声をかけた時に、受け取らなかったのは…目立って私に嫌な思いをさせたくなかったから、だって先輩は言った。



確かに、あんな人がいっぱいいる廊下なんかでチョコを渡していたら、それこそ学校中の笑いのネタにされる。



改めて思った。



先輩って、外見だけじゃない格好いいのは。



ちゃんと、女の子を気遣ってくれる優しさがある。




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