Sour & Sweet(バレンタイン&ホワイトデー企画)
chap.2

優サイド

朝のニュースでかなり冷え込むと言っていた日の放課後、駅前で翠子と待ち合わせた。



「ゴメン、待った?」



早く来ていた翠子に声をかけたら、来たばかりだという。



ウチの学校は化粧してる女子が殆どだから、改めて翠子を見ると新鮮な気分になった。



「とりあえず、立ち話もどうかと思うし…。」



ファストフード店にでも入ろうと、翠子の手を取る。



「だいぶ、待ったみたいだな…。」



氷のように冷たい翠子の手が可哀想になって、温めてあげたくて彼女の手を撫でた。



みるみるうちに、真っ赤になる翠子。



その可愛い反応が面白くて、撫で続けながら室内に入った。



今の俺が金を出せる範囲は、ハンバーガーセットしかない。



翠子は特に食べたいものを言わなかったので、一緒にした。



「飲み物、どうする?」



「ミルクティをお願いします。」



2人分のセットが載せられたトレイを、席まで運ぶ途中



「あの、代金を…。」



翠子が、サイフを出しながら言った。



おおっ、結構良い子じゃん!



奢って貰って当然な女どもに、その姿勢を見せてやりてぇ…。



「いいよ、サイフしまって。」



確かに小遣いピンチだけど、初デート(になるのか?)で翠子に金出させるわけにはいかない。



カウンターに並んで席に着くなり



「ご馳走になります。」



翠子が頭を下げた。



早速バーガーにかぶりついていたら、翠子は手を合わせて



「いただきます。」



なんて、学校給食でしかやらないようなことをした。



そんな姿が、微笑ましく…可愛いと思った。



ちょっとズレてるけど、礼儀正しい子なのは間違いない。




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