Sour & Sweet(バレンタイン&ホワイトデー企画)
既にこの学校も放課になっていたから、校門からゾロゾロと人が出てきている。



校門から出てくる人みんなが、私をジロジロと見ては帰路につく。



確かに周りの女のコより背が高いけれど、170cmの身長がそんなに珍しいとでもいうのかしら?



それとも、身だしなみがきちんとされていないなんてことは…無さそうね。



セミロングの髪は、私付きの使用人に小言を言われながらも、車内できちんとブラッシングをした。



学校指定の白いコートは、常に汚れないよう気を遣っている。



しばらく待っていると、校門から出てきた男子数人に声をかけられた。



「誰、待ってるの?」



幼稚舎からずっと女学園で過ごした私は、自分を取り巻く環境のせいなのだろうか?



同世代の男子を前に、すぐに声が出なかった。



「もしかして、男待ってるとか?」



「待たせる男なんて放っておいて、俺らと遊ばない?」



遊ぶ…?



どう考えたら、見ず知らずの人といきなり遊びに行こうなどと言えるのだろう。



私には、無理な話だった。



断るのに適した言葉を考えていると、腕を掴まれる。



「何、シカト?」



「いくらお嬢さんでも、お高くとまってるんじゃねぇよ!」



そういうつもりは無い私は、非常に困惑していた。



普段の生活では荒々しい声を聞くこともないので、身体が竦む。



使用人に告白をするところを見られるのは恥ずかしかったので、車と一緒に帰したのだけど…。



こんなことになるのなら、先に帰すべきではなかった。



そう思いながら、コートの上から胸元のロザリオに手を重ねた。



神様、どうか私をお助けください…!






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