Sour & Sweet(バレンタイン&ホワイトデー企画)
席に着くと早速、余合がハンバーガーにかじりついた。



一口食べてトレイに置くと、ポテトを1本食べた。



「翠子さん、これを入れずに紅茶を飲んだのでしょう?」



余合は、フレッシュを手にして言った。



「正解、何で分かった?」



余合はそれには答えず、紅茶を一口飲むと顔を顰めた。



「やっぱり…ダメ?」



「結論から申し上げますと、翠子さんは大変ご無理をなさったのだと思われます。」



「不味かったら残して良いって、言ったんだけど…。」



「成り上がりの私の家とは違って、翠子さんは由緒正しきお家柄の方です。

出された食事は一切残さないよう、きちんと教育されているに違いありませんわ。」



聖女の乙女だろうが、お嬢様って奴は一皮剥けばワガママでタカビーなものだと思っていたけど、そういうのばかりじゃないみたいだ。



いまどき『由緒正しい家柄』って言われても、どんな家だよ?ってカンジだ。



っつーか、余合ってすっげーお嬢って噂を聞いてるけど、翠子はさらに上をいくお嬢ってことか!?



「優、とんでもない女に惚れられたもんだな…。」



花見が、頬杖つきながら言った。



余合の話を聞いて分かったことは、翠子は世界でも通用するような『レディ』ってことらしい。



「ところで、何でミルク入れなかったのか教えてくれない?」



「フレッシュは、ミルクではありませんもの…。」



「私もリコん家に遊びに行ってから知ったんだけどさ、フレッシュって牛乳でできてるんじゃなくて植物性脂肪…つまり、アブラなんだって。」



脂!?



「翠子さん、紅茶にはこだわりがある方ですの。」



「リコも相当紅茶にうるさいから、それ以上ってことだね。」



アンジェリーナは、余合の紅茶と自分が頼んだ飲み物を交換しながら言う。



翠子のために、今から紅茶専門店探せってか?



そんな時間、無いだろ。



「あ、これなら何とか大丈夫そう…。」



余合がそう言って飲んだのは、オレンジジュースだった。





< 25 / 42 >

この作品をシェア

pagetop