Sour & Sweet(バレンタイン&ホワイトデー企画)
怖くて、震えていると
「ヤメなさいよ!」
聞き覚えのある声がしたので、顔を上げた。
「マリア様!」
私は、彼女を前に十字を切った。
昼休みに、礼拝堂で祈りを捧げた甲斐があったというもの。
「誰が、マリア様だっつーの…。」
赤茶色の髪が美しい彼女は、苦虫を噛み潰したような顔をして呟いた。
確かに、彼女は聖母マリアではない。
それでも、私たちの仲間内では彼女のことを『マリア様』と呼んでいるのには理由がある。
私が幼稚舎から通い続けている学園はミッション系で、その礼拝堂には彼女そっくりのマリア像が祀られているからだ。
「げっ、ダークエンジェル!」
腕を掴んでいた手が放されたので、私は彼女の後ろについた。
この学校の人は、マリア様を似つかわしくない愛称で呼ぶ。
「この子がリコの友達なのは一目瞭然なんだからさ、男とまともに喋ったことも無さそうなことくらい考えつきそうなもんでしょ?
ビックリして声も出ないような子に、シカトだの、お高くとまってるだのと…。」
確かに、その通りです…。
「純粋培養のお嬢様ナンパするんなら、もう少し鄭重に扱ったら?
まだこの子を困らせるつもりなら、喧嘩売ってると看做して相手するわよ?」
「わ…分かったアンジェ、もう手出ししない。」
私に声をかけた男子たちは、顔を真っ青にして逃げ出した。
そうそう、彼女の本名は『アンジェリーナ』。
“Angel”の文字が入った、とても素敵な名前。
1年の時の文化祭に、中等部まで同じ学園にいた梨香(リコ)さんが彼女を連れて来たのがきっかけでお知り合いになった。
翌年は、私たちがこの学校の文化祭へ遊びに出かけた。
同級生なのだけど、お姉様って呼びたいほど素敵な方。
「ヤメなさいよ!」
聞き覚えのある声がしたので、顔を上げた。
「マリア様!」
私は、彼女を前に十字を切った。
昼休みに、礼拝堂で祈りを捧げた甲斐があったというもの。
「誰が、マリア様だっつーの…。」
赤茶色の髪が美しい彼女は、苦虫を噛み潰したような顔をして呟いた。
確かに、彼女は聖母マリアではない。
それでも、私たちの仲間内では彼女のことを『マリア様』と呼んでいるのには理由がある。
私が幼稚舎から通い続けている学園はミッション系で、その礼拝堂には彼女そっくりのマリア像が祀られているからだ。
「げっ、ダークエンジェル!」
腕を掴んでいた手が放されたので、私は彼女の後ろについた。
この学校の人は、マリア様を似つかわしくない愛称で呼ぶ。
「この子がリコの友達なのは一目瞭然なんだからさ、男とまともに喋ったことも無さそうなことくらい考えつきそうなもんでしょ?
ビックリして声も出ないような子に、シカトだの、お高くとまってるだのと…。」
確かに、その通りです…。
「純粋培養のお嬢様ナンパするんなら、もう少し鄭重に扱ったら?
まだこの子を困らせるつもりなら、喧嘩売ってると看做して相手するわよ?」
「わ…分かったアンジェ、もう手出ししない。」
私に声をかけた男子たちは、顔を真っ青にして逃げ出した。
そうそう、彼女の本名は『アンジェリーナ』。
“Angel”の文字が入った、とても素敵な名前。
1年の時の文化祭に、中等部まで同じ学園にいた梨香(リコ)さんが彼女を連れて来たのがきっかけでお知り合いになった。
翌年は、私たちがこの学校の文化祭へ遊びに出かけた。
同級生なのだけど、お姉様って呼びたいほど素敵な方。