Sour & Sweet(バレンタイン&ホワイトデー企画)

優サイド

俺の携帯にメールが届いた。



アドレス登録どころか、見覚えのないメアドからだった。



そんな得体のしれないものは、いつもだったら無視して削除するけど、件名に翠子の名前があったから気になって開いた。



あの翠子に、他に男がいる…だってー!?



それ、あり得ねぇだろ?



どう考えても、彼女は男慣れしてないし…。



そうは思っても、今ショッピングモールでデートしてるってメール読んだら、そこへ確かめに行っちまうわけで…。



ショッピングモールをくまなく探していると、翠子が喫茶店から出てくるのが見えた。



声をかけることなんか、できなかった。



翠子の隣には、服でも買ってあげたのかショッピングバッグを肩にかけた男がいた。



ファッション誌の表紙を飾ってるような、オシャレで背が高い若い男。



2人はすぐ近くの駐車場に向かうと、真っ赤な車に乗って行ってしまった。



2人で並んで歩く姿は、似合いのカップルといったカンジだった。



翠子は、もう俺に愛想を尽かしたのか?



それとも、俺のことはただの気まぐれだったのか?



まぁ、安いバーガーしか奢ってあげられないし、発表会で居眠りこいてるし、つい女のミニスカに視線がいってるようじゃ…呆れられるのも無理ないか。



庶民の俺に超お嬢様の相手なんて、できるわけなかったんだ。



もう無理して、美味しい紅茶の淹れ方とか、興味ないクラシックなんか勉強しなくて良いんだ。



清々する…



のか?



だったら、何で涙なんか流してるんだ?



これじゃまるで、翠子のことを好きみたいじゃないか?



……。



好きに、なってたんだよな。



だから、翠子が他の男と楽しそうにデートしてるのは、見てて辛いし、許せなかった。



俺は翠子に最後のメールを打つと、彼女の名前をアドレス帳から消去した。




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