なんでやねん!


「なんですか!?それ!?ひーかーるーさぁーん!!」


「ごめんな。私が変な木彫りの人形なんかに気を取られたせいやわ。」


「そんな!茜さんは、悪くないです!光さんが早とちりするから!」


「ごめん、七海ちゃん。俺も、七海ちゃんの気持ちを不安にさせるような事、前に言ったよな。」


神崎さんも謝る。


たぶん、この前のご飯で、二人の事を聞いて来た事。


私は首を横に振った。


「神崎さんは、私の気持ち知らなかったし。」


「神崎さん、イクラに何を言ったんですか?」


茜さんが少し怒ったような口調で問い詰める。


「それは…俺も、勇と茜さんが付き合ってるのかと思って、七海ちゃんに聞いて…。他意はないんだけど。」


言葉の最後の方は、モゴモゴ言って聞き取れない。


そんな神崎さんが可笑しくて、私は少し笑ってしまった。


力が抜けて、急に酔いが回ってきたみたい。


フワフワして…眠くて…。


《七海ちゃんが好きやから。》


記憶の底から、何か聞こえたけど、私は耳をふさいだ。


すごい…ねむ…ぃ。


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