すき、好き、もっとスキ。



「大石さん」

「は、はい?」



ボーッと外を眺めていると突然かけられた声。



「大石さんは、どうしてバスガイドさんになったんですか?」



え?

生徒さんの方へと視線を向けると、何故か注目されているあたし。



「え、えーっと……」



突然された質問に頭が上手く回転しない。

あ、回転しないのはいつものことなんだけど。

さすがに今はそんなことを思ってる場合じゃなくて。



ここは何て答えるべきなんだろう。

正直に答えちゃ、駄目だよね。



「ち、小さな頃からの夢だったんですよ」



にっこり、覚えた営業スマイルでお返事。

加山さんに何度も教えられた営業スマイルで乗り切った。



そう思ったのに!




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