すき、好き、もっとスキ。
「梢ちゃんがバスを一発で車庫に入れるなんて……わしゃ嬉しいよ」
大袈裟な言い方をしながら、バスからおりて来た田辺さんに
「そうよね。大石さんは研修期間中も覚えは最悪だし。成績も最低だし」
加山さんが続けると、
「うんうん。バスも何度ぶつけた事か」
田辺さんが、おまけにそこまで付け加えた。
「ちょっ、田辺さん! バスはぶつけてないです! ぶつけかけたって言って下さいよー」
「おお、そうだったかな?」
すっ呆ける田辺さんに、あたしが反論しようとすると
「ぶつけかけたのは、数えきれないけどね」
と、いつもの鋭い眼差しで加山さんが、あたしを睨んだ。
ぐっと言葉を詰まらせたあたしを田辺さんが笑いながら見つめる。