すき、好き、もっとスキ。
さっきまでの浮かれた気分が一気に冷めてしまった。
目の前で怒ってる璃久がどうすれば許してくれるかな。
なーんてことばっかり考えてしまう。
だって、せっかくの偶然で。
こんな偶然、もう絶対ないような偶然で。
だから、すっごく嬉しくて。
璃久も驚きながらも喜んでくれるって、どこかで思ってたんだもん。
それなのに現実は、いつもよりちょっぴり多めに怒られちゃってる。
そして。
「お前この旅行中、絶対話しかけんなよ」
「え?」
「だから、話しかけんなよ。ええな?」
「……話しかけるな?」
「あぁ」
「……誰に?」
「俺に」
「……えええ!?」
「えええ!? ちゃうわ。
絶対に話しかけんな、絶対やぞ!
もし話しかけたら……当分会わへんから」
……。
……。
……。
う、嘘ー???
そう冷たく言った璃久は、
あたしの方に振り返ることもなく行ってしまった。