すき、好き、もっとスキ。
けど、勿論あたしには呼び出しがかかった。
目の前に立つ加山さんは、呆れたそんな表情をしている。
「すみませんでした」
一通り説明し頭を下げるあたしに、
大きな溜息を吐いた加山さんは
「理由はわかりました。
先生からも、この事の判断はこちらに任せると言うことなので大事にはしませんが……」
いつもより少し低い声で話す。
「理由はどうあれ、こうなれば信用問題に関わる事になりかねません。
それはわかりますね?」
「……はい」
「明日のガイド、あなたはしなくて結構です。
朝、先に電車で帰りなさい」
「……はい」
「大石さん、無責任な行動を取るとこういう事になるの。
今回、あなたがした事は正しいのかもしれない。
けれど、結果的に皆に迷惑をかける事になってしまったのを忘れないでね」
「申し訳ありませんでした」
「……会社には私の方で対応しておくので心配はしなくていいわよ」
「……ありがとうございます。本当に申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げると、加山さんは哀しそうに笑って
「本当、あなたはバカなんだから」
と、溜息を吐いた。