すき、好き、もっとスキ。
「な、何で居るの?」
「あー……、先帰ることにした」
「はぁ!?」
何言ってんの?
意味わかんないんですけど!
「だってバスは? 何で電車!?」
「……調子悪いから先帰るって言うてきた」
「え。ええ!? 風邪? 熱は? 計った? あ、薬……あー、あたし痛み止めしか持ってないや。頭痛い? どこが辛い?」
一気に喋るあたしを黙って見つめていた璃久は、ボソッと
「……胸」
そう言って、あたしの肩に頭を預けた。
それだけでドキンッと高鳴る胸。
体調が悪いって言ってる璃久を目の前にして、
ドキドキしてる場合じゃないのはわかってるんだけど。
それでも、ドキドキしちゃうのは、やっぱり好きだから仕方ない。
「む、胸って…痛み止め効くかな?」
「効かへんやろ」
「だ、だよね」
へへっ、と笑ったあたしの声が止まると電車のドアが閉まり、ガタンゴトンと音をたてゆっくりと動き出した。