すき、好き、もっとスキ。



驚いたあたしが顔をあげると、璃久は困った顔で



「で、どうしてん?」



そう優しく首を傾げたりしてくれるから。



「璃久のデレが出たぁ~」



そう叫んでしまった。


勿論、たった今まで優しい顔をしていた璃久は一気に険しい表情になり。

眉間に皺を寄せながら怒ったけど。



だけど、普段“ツンツン、ツン”の璃久の“デレ”ほど涙をそそるものなんてない。

ツンツンじゃないんだよ、ツンツン、ツンなんだから!


普通より1つ多いんだから!


こんな弱ってる時に、優しくする璃久が悪い。

こんな泣きたい時に、優しくする璃久が悪い。

こんな寂しい時に、優しくする璃久が悪い。



璃久が悪いんだからね!



「……うっ!」



隣に居る璃久の胸にギュッと飛びつくと、聞こえてきた声は苦しそうだったけど……、気にしないもん。

どうせ、すぐ離れろ。とか怒られるんだから。



それまでおもっきりギューってしてやる。



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