すき、好き、もっとスキ。
話の飛び交う車内で、俺は1番後ろの席で目を閉じた。
今日は宿泊学習。
昼は色んな名所を見学して、
夜は各担当教師に何でも質問が出来る。
中学ん時とかと違うんは、
飯ごう炊さんとか、キャンプファイヤーとかがないだけかな。
まぁ、俺からすればどっちにしても面倒なんやけど。
「おい、神楽。トイレ休憩だって。ジュースでも買いに行かね?」
どれくらい経ってからかは、わかれへんけど隣の席に座る柴(シバ)に起こされた俺は寝ぼけながら外に出た。
体を伸ばして、ネクタイを緩めると
「神楽君、ネクタイはちゃんと締めてね」
そう担任からの声が、すかさず飛ぶ。
名門校って言われるだけあって、身だしなみには厳しい。
服装の乱れは心の乱れ。って……なくはないとは思うけど。
ネクタイって苦しいねん。
社会人になったらスーツ着んでもいい仕事したいなーって思ってまうくらいにネクタイは嫌いや。