PureLOVE〜キセキの確率〜2

<海の見える病室>

アコさんはすでに一度手術をしていた。


まず、腫瘍が悪性かどうか確かめるため…、そしてどれくらい切り取る必要があるか…転移はあるか…


彼女はリコさんの妹であるとゆうことで、特別に個室をあてがわれた。


オーシャンビューで居心地はよかった。


しかしアコの頭は、何か真綿が詰まったようにぼんやりしており、覇気が全くなかった。


そんなアコに、リコは毎日ギターを持ってきて、昼休みに『スマイル』とゆう曲を歌ってくれた。


iPodでもヘビロテな「ホフ・ディラン」の名曲だ。


アコはふわっと笑った。


リコは歌い終えると、またバタバタと仕事に戻った。


看護師とゆうのはハードな職業だな、とOLだったリコは思った。


持ってきたパソコンでリコの働きぶりをblogに書くことにした。


「看護師Booing」


とゆうタイトル。


毎日リコが仕事の愚痴を言いにくる。


それを元に書いた。


ネットサーフィンをするうち、ホフの熱狂的なファンの男の子が書く日記を見つけた。


タイトルは「ナカザ謹慎中」


タイトルから気に入ってしまった。


過去のblogから丁寧に毎日読んだ。


次第にぼんやりしていたカオに笑顔が戻ってきた。


気づいたリコは聞いてみた!


「なんかあったのかよ?」


「リコ、これこれ、見てこのblog!趣味が超似てんの!!」


「ナカザキ シンヤって子で大学生みたいなんだけど。」


「超いい感じ」


とアコは言った。


リコも久々に笑える日記の内容だった。


アコさんも、リコさんも、晋也兄の日記をひたすら読むようになっていた。


しかし、その時点ではすでに僕、タクヤが兄の代わりに日記を書いていた。

兄はもうこの世界にいなかった。


僕はただ、僕のこころの何かをうめたくて、必死に文字を書いていた。


ぐるぐると螺旋階段を昇るように、僕は同じ事の繰り返しによって、どこか、に行ける気がしていた。


晋也兄の近くに…
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