気づけば、あなたが
コンコン。


保健室のドアを叩く音。



「失礼します」


入ってきたのは陽介と佳奈だった。


「同じ中学校の生徒さんね。さっき、彼女のお母さんに連絡したから大丈夫よ。あなた達は帰っていいわよ」


保健の先生にそう言われて、二人はその場から出て行った。




廊下を歩きながら、佳奈は陽介の顔を覗いた。



「心配?」


「えっ!」



「やだぁ、図星なの」


「うるせーよ!」


「もしかしてコクってないわけ?」


佳奈は次から次へと問いかける。


「べっ、別にどうでもいいだろう」



「あら、そう」


佳奈はフフッと笑った。


やがて昇降口に出ると佳奈は、靴を履き替えた。


「気になるなら待ってればいいじゃん。
杏のお母さんも、もうすぐ来るんじゃないの」



「そうする」


「じゃあね、学校には私から伝えておくわ」


佳奈は手を振って校門の方へ歩いて行った。


陽介はそれを見送りながら、杏の母親を待っていた。



そして、それから20分後ようやく杏の母親がやって来た。



車を停めて降りて来た。


「あっ、陽介君」


「おばさん、保健室にいます。こっちです」

陽介はそう言って、案内した。



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