気づけば、あなたが
最も、いくら人気のある部だからといって、安易に陸上部に入部しようという者がいるだろうか?



杏は最後の走者なので、他の人の走りをじっと眺めていた。


そして、杏の視線は舞の方に向いた。


タイムを計りながら次第に表情が険しくなっていた。


そんな彼女を見ていると、こっちまで疲れてくる。



確かに杏も、他の人の走り具合を見てると、本気でやる気があるのかさえ疑わしい生徒もいた。



やはり、ただ単に振り分けだけのテスト。


レギュラー取りのテストとは名ばかりだったのだろうと杏は思った。



そろそろ杏の番が近づいてきた。



また、体を温め始めた。



やはり体が重い。



「最後の人、位置について下さい!」


舞の声が響く。



杏はゆっくり、スタートラインに着く。



杏の相手は中体連で見かけた事のある女子だった。



でも相手は、どうあれ 自分との闘い・・・


杏はやがて無になった。



「位置について!
よーい」


バーン!!!



杏は・・・途中、走りに違和感を感じた。



だがやはり、大差の距離で走り切った。



「じゃあ一年生は、とりあえず次の競技の説明を聞いて下さい」



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