気づけば、あなたが
「陽ちゃんって彼女いるの?」


「へっ!」


突拍子な質問だ。



今日のこの流れからいくと、どう見ても「試験はどうだった?」になると思うが・・・。

陽介は返事に困った。


「あれ? もしかしていないんだ」


そう言われて陽介はとりあえず頷いた。



「受験も終わったら、もうすぐ卒業かぁ・・・杏は部活命だったし、彼氏の一人でもいたら良かったのにねぇ」



「杏って結構モテますよ。本人は全く気にしてないけど」



「へぇ、そうなの」


杏の母は何となく嬉しそうな表情。



「あっ、そうだ! 試験どうだった?」


陽介はコケそうになる。


「まあ、何とかやるだけやりました」


「陽ちゃんは頭もいいから当然大丈夫よね」


「ハハッ、そんな事ないです」


陽介は頭をかいた。



「杏も陽ちゃんも受かるといいね」



そのうち、駅に到着すると陽介は車を降りて二人と別れた。



・・・杏、大丈夫かな・・・


陽介は去って行く車を見送った後、自転車に乗って学校に向かった。
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