気づけば、あなたが
だいたい坂本と言い先生に島田、あの不気味な笑いは何なんだ?



特に杏に対しても目立った事はしていないつもりだし・・・本当に何なんだ!



思いっきり心の中で叫んでしまった。




「どうした?」


美波は顔を覗き込む。


「何でもねぇよ」


「いいじゃん、照れなくたってさ」



「うるせーよ! もう帰るぜ」



陽介はこれ以上何を言われるかわからないので、この場を退散した方がいいと思った。


もちろん、杏の事が気になっていたから。



自転車をこぐ彼は、おとぎ話の登場人物のようだった。



寒い季節はもうすぐ終わりを告げようとしている



陽介の足は、朝と同じように杏の家に向かっていた。
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