気づけば、あなたが
「どうした?」


隣に座った本田が、声を掛けてきた。



「う・・・ん、ちょっと考え事してた」



「何かあったのか?」


本田は更に聞いた。



「お前さ、好きな女子いるのか?」



本田はコケそうになるのをこらえた。


でも陽介の表情は真剣だった。



「いっ、いきなり言われてもあんまり意識した事ないし」



「まあ俺もだけど、いいや、今の忘れてくれ」


さっきの真剣な表情から一転して、あっさりと忘れてくれとは・・・?


本田は何か気が抜ける感じだ。



「風見、昨日からちょっと変じゃないか?」


ドキッとした。


俺、やっぱ・・・いつもの俺じゃない・・・・



何で急に意識し始めたんだ?



昨日、あんなにつらそうな表情をしていた杏を見てしまったから・・・?



このモヤモヤした気持ち。



どうにもスッキリしない。



そして・・・。



杏の声が聞きたい。



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