気づけば、あなたが
本田がそっと美波に耳打ちする。


「何かあったのか?」


「さあね」


「それにどこへ行くんだよ」



「杏の所よ」



「お見舞い?」


「そうなんでしょ」



「それでどうして隣のクラスの女子がいるんだ」


美波はいちいちうるさい本田の耳を引っ張り、
「いいからアンタは黙ってついてくればいいの!」と。


本田は訳がわからずついて行くが、一つだけよくわかっている事は、美波の怒りは頂点に達しているという事だった。



・・・ったく、風見のせいだぞぉ・・・・・・。



前でくっつきすぎるほどくっついている佳奈に、陽介も流石に困った。



陽介は時々チラッと後ろを気にして見ていた。



その時は美波もクスッと笑った。




さてその四人は、杏の家の前についに到着してしまった。



美波は今度は前に出てインターホンを押した。
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