気づけば、あなたが
「こんにちわ、島田美波です」



「あら、ちょっと待ってて」


そう答えると杏の母親はすぐに出て来た。


「まあ、どうしたの?
大勢で来てくれて」


「今日、お休みだったので様子を伺いに来ました」


「そう、みんなありがとう良かったら上がっていって」


母親はどうぞと言い四人を中へ入れた。


通されたリビングのソファーに四人は腰をおろした。


「杏はすぐに降りてくるから」


そう言うとキッチンへ行き、お茶の用意を始めた。



しばらくすると杏が入って来た。


杏は美波だけだと思っていたので、パジャマの上にカーディガンを羽織った格好だった。



「ちょっ・・・ちょっと何で陽介と本田がいるのよ!」


「杏、私が誘ったのよ」


「佳奈が?」



そこへ母親が紅茶を運んで来た。



「あれ、美波ちゃん達って言わなかったかしら?」



「言ってないから」


「どうぞ」


差し出されたティーカップに口をつけたのは本田だった。


「すごくいい香りですね」


その言葉にみんなはぶっと吹き出した。


「まさか本田の口から、そんな言葉が出るなんて・・・」


美波は笑いながら言った


「さっき焼いたクッキーもどうぞ」


本田は照れながら一つ取った。
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