気づけば、あなたが

優柔不断~解けない知恵の輪

結局その日は、朝からモヤモヤして二人ともスッキリしない様子だった。



陽介は何となく嫌な気配を感じていたが、あえてその事には触れないようにした。


まさにさわらぬ神に祟り無しだ。



でも平穏で済まそうと思っていても、そうはいかないのが現実だった。


本田の一言が杏と美波の心を揺るがす。



「そういえば、志望校の事も先生に聞いてたっけ」



「陽介の志望校を聞いてたの!」


「まあ、でも同じとこを選んだとしても合格しなきゃ」


本田の言い訳は、陽介にも言える事だった。


「もう、いいじゃん!」

杏は叫んだ。



その声に他の生徒が振り向く。



そう、陽介も。



何事って感じで陽介が、こちらにやって来た。



「何かあったのか?」



あんたの事でね。


そう言いかけようとして、やっぱりやめた。



これ以上、事を荒立てたくないから。


杏は「何でもない」とだけ告げた。




本田は陽介に目で合図して廊下に出た。
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