気づけば、あなたが
何か杏の様子がおかしい



ずっと下を向いたまま。



あっ!


ヤバいッ!


俺、受験票渡すの忘れてたぁ。

俺ってなにやってんだよ!



早く教えてやんないと。



「杏・・・これ」


陽介は受験票を差し出した。



杏はすがるような眼差しで俺を見つめた。



「陽介・・・なんで?」


「朝、おばさんから届けてくれって」


杏は大きく深呼吸した。



「よかったぁ、もうダメだと思った」


杏は少しはにかんで「ありがとう」と言った。



・・・今日はやけに素直・・・いつもなら、凄い見幕で怒るのに・・・



杏は手渡された受験票をカバンにしまい込んだ。



「試験、頑張ろうね!」


またまた意外な一言。

どうなってんの?



陽介は少し戸惑った。



でもここはクールに決めないと


「杏も落ち着いて、しっかりな」



「うん」


コクンと頷く。
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