気づけば、あなたが

それぞれの一日

とうとうこの日が来てしまった。



合格発表の日。


三年生は登校してから、受験校毎に出掛けて行く。

紅南高を受験した人数は5人程度。

杏はさっさと教室から出て行った。



その後を陽介が黙って着いて行く。



杏は朝からドキドキしていた。


あんなに頑張ったのだから絶対大丈夫!


そう自分に言い聞かせても、どこかで万が一と考えてしまう。



「杏!」



威勢のいい声は佳奈だった。



「一緒に合格するといいね」



朝からテンション高めの佳奈に、杏は益々気が滅入りそうだ。


「あれ、陽介は?」



「えっ?」


言われてみれば、杏の頭に陽介は入っていなかった。



「あっ、来た来た!」


佳奈の声が響く。



ゆっくりと昇降口から出て来た。



いつも見慣れていたから、マジマジと彼の姿を見つめるなんて事はなかった。



背、伸びてる・・・。


二年生の時より更に高い



何か中学生とは思えない程、大人びていた。



余計に意識してしまう・・・。


陽介の事が頭になかったなんてホントはウソ。



意識しすぎてしまうから、考えないようにしていた。
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