気づけば、あなたが
「待たせたな!」



「みんな揃ったみたいね行こうか」


佳奈はそう言うと、杏の隣に並んで歩き始めた。



陽介の横じゃないんだ・・・


やっぱりみんながいるから?


杏はそんな事を思った。



路線バスの停留所に着くと、バスがちょうど入って来る所だった。


通勤通学の時間帯も過ぎ、車内は思ったよりすいていた。



杏と佳奈は二人掛けの椅子に座った。


陽介は他のクラスの男子と話している。



佳奈は落ち着かないのか窓の外をチラチラと見ながら、たわいもない話をしていた。



初めの内は杏も何となく聞いていたが、その内に左から右へ抜けていた。



やっぱりドキドキの瞬間はずっと続いている。



これで運命が決まるんだ・・・ちょっと大げさかもしれないけど。



みんな初めての人生の岐路に立たされているように。




「次は紅南高校前、紅南高校前」


アナウンスの音に反応して杏はブザーを押した。


あともう少しで停留所に着く。


そして・・・。



バスはゆっくり止まり、みんなは次々と降りて行く。


杏は最後にバスから降りた。




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