気づけば、あなたが
杏は他の生徒達と一緒にバス停に向かった。



バス停に二人の姿はなかった。



先に帰ってしまったのだろうか?



到着したバスに乗り込んだ後も、二人の事が気になり、ひとり離れた所へ座った。



佳奈、ちょっとズルい。



きっと陽介は上手く彼女を励ましているのだろう・・・。



頭の中を色々な妄想が駆け巡る。



杏は過ぎていく街並みを見つめながら、ため息をついた。



何となくぼんやりしていたら肩を叩かれた。



「杏、降りるよ」


「あっ、もう?」


杏は慌てて席を立ちバスのタラップを降りた。




浮かない顔で歩いていると後ろから声がする。


「杏!!」


美波だ。


立ち止まって振り向く。



美波の明るい表情とピースサイン。



杏も両腕を上げてマルを作った。


駆け寄る美波と杏はお互いに笑顔を見せた。



「おめでとう美波、難関校を突破するなんてスゴいよ!」


「杏もやったね!」


その言葉に杏は頷いた。



「ところで陽介は?」



美波の問いかけに、杏はさっきまでの表情から急に一転させた。



「陽介、先に戻っちゃった・・・」


「何で?」




「佳奈が・・・落ちたから」


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