気づけば、あなたが
・・・もうホントに私
ってドジなんだから
・・・陽介がちょうどうちの前を通ってくれたから、ラッキーだったぁ!


・・・ん?



何で、陽介が?


方角違うじゃん!


たまたま?


まあいいか・・・


受験票は届いたし、もうそれだけでハッピーだよね



杏は単純にそう思った。



「降りるぞ」


陽介に促されて杏は立ち上がった。



混み合うホームを上手くすり抜けながら陽介は前へ進む。


しっかりと杏の手を握って。



杏にとって陽介の存在ってなに?



彼女自身、考えた事がなかった。



杏は少しずつ、陽介を意識し始めてきた。



ああ、ダメダメ!


今は試験の事だけ考えなきゃ・・・。



杏は手を引っ張られながら、そう思った。


ただ、陽介の横顔が何故か素敵に見えた。
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