気づけば、あなたが
試験会場の高校に着くと、陽介は教室の前に貼ってある受験番号を見た。



「五百・・・三十・・・」



杏は彼の後ろを歩いていた。



「あっ!」



陽介が急に立ち止まる。



「うっ、急に立ち・・・」


背中に顔ごと突っ込んでしまった。



「俺、ここだ。じゃあな杏、ガンバレよ」



「陽介こそ、わかんなくて居眠りするなよ」


「そうだな」



・・・えっ何?

この爽やかな笑顔。


今日の陽介、やっぱり変だよ。



陽介は教室に入って行った。



それを見届けてから杏も教室を探し始めた。



あった・・・。



陽介の入った教室より二つあとの教室。



何人かの中学生が、すでに来ていた。


杏は机の上の番号を見ながら、席を探した。



場所は窓側だった。



カバンを机の脇に掛けると、窓の外に目がいった。



グラウンド、すごく広いんだ・・・。


スポーツの面にも力をいれている高校だけあって、設備も十分整っていた。



制服も杏の憧れだった。



合格しなくちゃ!


杏は改めてそう思った。



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