気づけば、あなたが
「海藤!」


ホームルームも終わり、帰ろうとした時に杏は担任に呼ばれた。


杏は美波に先に帰ってと告げた。


美波は頷いて教室から出て行った。



他の生徒がみんな教室から居なくなったのを確かめると、窓際の席に呼んだ。



「悪いな、帰る所を。ただちょっと気になってな」


「気になる事?」


「単刀直入に言うが、陽介と何かあったのか?」


杏は心が痛かった。


先生の顔を見つめながら、自然と涙がこぼれてきた。


「せん・・・せい、私は何も・・・変わってない・・・」



「合格発表の日から、お前達の様子に何となく違和感があったしな・・・そうか原因は陽介か・・・」



「先生、私・・・陽介と一緒の高校に行く自信ない」


「海藤、落ち着けよ」


先生は杏の頭を撫でた。


「あいつは優しい奴だから、もう少し待ってやってくれないか」


そう思いたい・・・


でも・・・気持ちが拒否反応を起こしている。



今となっては、もっと早く自分の気持ちを伝えれば良かった

杏はただ後悔するばかりだった。
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