気づけば、あなたが
本田は一字一句を聞き逃さないように、真剣な眼差しを美波に向けている



ここまでは、リハーサル通りに進んでいた。




美波の答辞は続く


受験生の私達は、いつの頃からか 個人という生活に変わりました。

それぞれが 自分の事だけを考える学校生活。



私達自身 志望校を決めるのに 様々な葛藤がありました。

そして安易に考えてきた受験に対して、先生方の厳しい言葉がとんだこともありました。

そして、ここに立つ生徒ひとりひとりの進路が決まった事
先生方に感謝するとともに、一緒に受験生の支えとなっていただいた両親に、ここで感謝の気持ちを伝えたいと思います。

本当にありがとう ございました。



最後に・・・私個人の事で…陰ながら心の支えとなってくれた友人に、ありがとうと伝えたいと思います。



美波は壇上から、本田の席を見つめた。


ありがとう…



そう言って、微笑んだ。


そして、また正面に向き


平成20年度
卒業生代表
島田美波



力強い声が講堂に響き、拍手が鳴りやまなかった。



本田はフッと笑った

さすが美波だな…


本田は答辞を読み終えて戻って来る姿を愛おしく思った。
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