7つの日々。
階段を踏みしめるように昇る。

どうやら、ユーリさんは一緒に来ないらしい。

僕のいない間に変わった。

たぶんあの新聞記事のこと以外にも色々あったんだと思う。

オトの部屋の前にきたら、どうしようもなく寒くなってきた。

うそ。

いい訳なんて一人前の男はいわないんだぜ?

僕はそっと扉に手を伸ばす。

軽いノック音。

中からは物音一つしない。

もう一度強めに扉を叩いてみる。

会いたくないとか?

僕はいたたまれない気持ちになって、一度ドアノブに手を掛けて、やめた。

いくら待っても衣擦れの音でさえ聞こえない。

僕はもう一度ドアノブに手をそえて、深呼吸した。

今日だけでもう11回は深呼吸している。

静かに少しずつ。

オト。

君に会うために、僕は前に踏み出す。
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