7つの日々。
できることは、きっとない。

沈んでいると、オトが目の前で微笑んでいた。

こちらに向けて、ノートをみせる。

「ちーは変わってないね。気になることがあるとすぐに眉尻が下がるんだよ。」

「私は大丈夫。ごはんも食べるんでしょ?」

「ちー、来てくれてありがとう。」

少し支離滅裂。

それからぶっ飛んでる。

でも素直な言葉。

君らしい右上がりの文字。

僕がそれに見とれていると、オトはまるで幽霊みたいに、音もなく隣をすり抜けて行く。

昔は……どうだったかな?

たぶんオトはこんなにおしとやかな奴じゃなかった気がする。

彼女をエスコートするみたく、前を行く。

紳士きどり。

もしかしたら、僕はロマンチストなのかも知れない。

ユーリさんのカレーは昔と変わらず、具が大きくて甘かった。

「ユーリさんのカレー、久しぶりに食べた。」

オトがそうノートに書きこむと、みんなで笑った。

僕がオトの部屋にいる間に、オトのオヤジさんが帰っていたらしい。

オヤジさんはいい人だ。

僕は昔、彼に憧れていて、この家族に憧れていた。
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