7つの日々。
僕の声は震えてない?

少しだけ大人になったから、きっと震えてない。

ユーリさんはふっと笑顔を引っ込めて、僕をリビングに案内した。

オトはいつもここで本を読んでた。

とても難しい本を。

今なら一緒に読める。

「ちいくん、今なにしてんの?」

「学生です。来年からは大学にいきます。」

ユーリさんはお茶を、と席をたったまま、僕に背を向けて話しかける。

背中に触れないで、と書いている。

だから、僕は触れられない。

「大学、どこの?」

「向かいの県にある二流大学です。」

「そう……。」

でも、今は会いたい。

「オトコは大学には行かないの。専門学校行きたいって。」

そう……、会いたい。

3年間も待った。

「でも、……新聞みた? 決勝戦であの子右足ダメになったの。激しい運動はダメだって。」

「それから、塞ぎ込んで、学校にも、今は行ってないのよ。部屋にいるけど、口も聞いてくれなくって。」

僕は唖然とした。

気がついた時には叫んでいた。

「嘘だっ!」

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