見えない僕
なんとなく分かる。
別れの時が近付いてる。
「何で…?ヤだよ!隆介、あたしを1人にしないで!」
梨紗…
「…ごめん。僕が死んだから。」
「……。」
「梨紗は僕の分まで生きてね。」
「ぅんー…。」
「早く新しい人を見つけて。」
「嫌!!隆介じゃないとだめ。」
「ありがと。でも僕の事は気にしないで。梨紗の頭の何処かに小さく僕が残っていればいい。少しでも覚えててくれればいい。」
「忘れない!!あたしの頭の中は隆介でいっぱいだよ。」
「梨紗っ!」
僕は見えない腕で梨紗を抱き締めた。
「隆介?近くにいるの?」
「いるよ。凄く近くに。」
いつも近くにいるよ。
僕の声が梨紗に届かなくなっても僕の姿が梨紗に映らなくなっても…。